無知のまま介護の世界に飛び込んで見えたもの　

　私は、他業種から、介護業界未経験のまま、介護の世界に飛び込みました。他業種というのは、大学生時代に立ち上げていた小さなベーカリーカフェです。地域活性化を謳いあげましたが、惨敗に終わりました。しかし、「社会の役に立ちたい」「人の役に立ちたい」との想いがあり、高齢社会で問題となっている介護の世界に身を投げました。

　いきなり施設の管理者からスタートし、右も左も分からず、パートの介護員や看護師から現場で介護技術を学び、運営・経営についても、徹夜で勉強する毎日でした。三年間（24時間×365日×3年）仕事をし続けました。当初は、失敗、失敗、失敗の連続で、毎日のように怒られていました。関係者の方々に多くのご心配やご迷惑をかけてしまったことを覚えています。そして、こんな私を見捨てずに、助言を下さり、育てて頂いたことを深く感謝しています。皆様のお力があったからこそ、さまざまな難題や大きな壁を乗り切れたと思います。

　上記の通り、全く無知のまま介護の世界に入ったことで、固定概念に縛られず、客観的な視点で介護を見ることが出来ました。介護施設の現場と運営を行いながら、そこで見えたものは、今の介護業界の問題です。資本主義の日本では、起こるのが当たり前ですが、「お金がないと介護サービスも受けられない」ことです。

　困っている人を見離せない私は、施設の運営理念として、全ての方を受け入れることを前提として、介護事業の運営に挑戦してきました。私のもとには、お金がない人はもちろんのこと、様々な問題をかかえ、十分な介護サービスが受けられない方々が相談され、その都度、一緒に考え、解決していきました。気付けば、どうしても他の施設でダメなら、内田さんに相談したらなんとかなるかもしれない、と認識して頂けるようになったと自負しています。最後の砦、受け皿として、役に立つことができるようになりました。

　しかし、当時、私が行っていた施設は、設備が不十分で、十分な介護を行うことが出来ない状況でした。設備が整った介護施設がよいのは言うまでもありません。いつか、きちんと設備が整った施設で介護を行いたい、利用者の方々を少しでも良い環境に移したいと思い、どうすれば実現出来るかを考えながら、毎日介護をしていました。

　2017年、ついに実現に向けて話が進むことになり、これまでのノウハウの蓄積を活かして圧倒的な低価格で運営できる介護施設（有料老人ホーム）を実現しました。

　毎月10万円以上が当たり前、20万円を超すことも普通である有料老人ホーム。本人の年金（国民年金毎月６万円程）でたりない時は、家族負担です。中には、生活保護を検討する方も多いですが、そんなに簡単に生活保護は出来ません。様々な事情があるのです。毎月約15～20万円の支出は、誰もが出来ることではありません。

　我々が目指すのは、日本一、利用しやすい介護施設。低料金でかつ、十分な介護サービスを受けることが出来、安定した運営ができる施設です。他の介護施設と比べたりせず、「こんな施設が、日本に一つでもあっても良いじゃないか」の精神で我々は日々、挑戦を行います。​

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